矯正治療のリスク

矯正治療のリスク
Orthodontics

矯正治療に伴うリスクや副作用について

矯正治療に際して、以下のようなリスクや副作用が生じる可能性があります。
治療にあたっては、これらのリスクや注意点をご理解ください。

矯正装置を装着することによるもの

【痛み・違和感】
装置を装着し始めた際、また初期の調整後に歯の痛みを感じることがあります。通常、痛みは数日で消失しますが、個人差があります。また装置を装着してしばらくは、食事時の違和感、発音時の違和感等が出ることがあります。

【むし歯、歯肉炎・歯周炎】
矯正装置の装着により、口腔内の自浄作用が低下し、歯みがきも行き届きにくい箇所が出来るため、むし歯や歯周病になるリスクが上昇します。歯みがきを丁寧に行うことが、リスクの低減につながります。

【口腔内の傷・口内炎】
矯正装置によって、頬の内側や舌などに傷や口内炎ができる可能性があります。

【脱離・誤飲】
接着された矯正装置が脱離したり、その装置を誤飲する可能性があります。

【金属アレルギー】
矯正装置により金属アレルギーの症状が出ることがあります。

歯の移動・矯正力が働くことによるもの

【歯根吸収】
矯正治療に伴い、歯根の先端に吸収が起きて短くなることが多かれ少なかれ認められます。通常は大きな影響を残すことはありませんが、歯根吸収の度合が重篤な場合には、歯の喪失リスクにつながります。これを避け、歯の移動に限界が出る場合があります。

【歯髄壊死】
歯を動かすことで、歯の神経が障害を受けて歯髄壊死が起きることがあります。歯髄壊死により、歯の変色が見られることがあります。歯髄壊死を起こした歯は、根管処置治療が必要となります。

歯の位置、咬合状態に変化が出ることによるもの

【歯肉退縮・ブラックトライアングル】
歯ぐきのラインが下がったり、ブラックトライアングルと呼ばれる歯肉の退縮現象が起こることがあります。

【歯の形態修正、再治療など】
良好な咬み合わせを獲得するために、歯の形態修正や、歯の高さの調整が必要となることがあります。矯正治療後にその時点のかみ合わせに適した、むし歯の治療や補綴物などの再治療を行う可能性があります。

【顎関節症】
矯正治療中、または治療後に顎関節に音や、痛み、開閉口障害などの顎関節症状が出ることがあります。

生体の反応として、予測困難なことによるもの

【骨性癒着】
歯と骨が癒着する骨性癒着が起きていて、通常の反応のようには歯が動かないことがあります。その状態に応じた治療が再考されます。

【歯の移動様相】
歯の動き方には個人差があります。予測された治療期間が短縮および延長する可能性があります。

【顎骨の成長発育】
成長期にかかる治療では、成長発育の量や方向、時期を考慮し治療を行いますが、顎骨の成長予測は困難であり、予想外の成長発育が起こった場合、治療期間が長くなったり、治療方針が変更されることがあります。

予後、保定に際して

【加齢・経年的変化】
顎の成長発育や加齢などの経年的変化や歯周病により、かみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。様々な要因でかみ合わせや歯並びが変化した場合、再治療等が必要になることがあります。

【後戻り】
矯正治療で移動した歯は元の位置に戻ろうとするもので、この現象を確実に抑えることは困難ですが、保定装置・リテーナーの適正な使用により、これらをできるだけとどめることにつながります。保定治療・リテーナーを指示通り使用できていない、経過観察のために必要な受診を怠るなどにより、歯並びの後戻りが生じる可能性が高くなります。